後藤 康雄 教授「金融システム論」
-コメントペーパーと身近な事例で学習意欲を高める授業-
氏 名:後藤 康雄(ごとう やすお)
所 属:社会イノベーション学部
職 名:教授
専門分野:金融?ファイナンス、財政?公共経済、経済統計、経済政策
対象者:社会イノベーション学部2~4年生
授業形態:講義
実施学期:2018年度前期
履修者数:288 名
※ページ内のpoint!は授業のポイントです
授業内容と取材当日の授業について
本授業は社会イノベーション学部の2~4年生に開講された選択科目である。金融の基本的な仕組みや制度を中心に学び、日本経済新聞等の主要メディアにおける金融関連の記事を概ね理解できるようになること、金融専門誌?専門書で関心のあるパートの趣旨が概ねつかめることが到達目標である。経済全体の金融システムが果たす役割を理解し、金融に“使われる”のではなく、“使う”ことができるようになることを授業の究極的な目標、としている。
取材当日(2018年6月19日)の授業は、以下の流れで進められた。
授業のはじめに、今後の授業内容や補講に関する説明がなされ、その後、本日の授業内容をまとめたスライドが資料として配付された。受講者が多いため、TA(TeachingAssistant)の学生が資料およびコメントペーパーの配付にあたっていた。
講義を始める前に、前回の授業で提出されたコメントペーパーの内容を紹介する時間が設けられ、全員で共有すべきだと思われる質問に対しては、後藤先生から回答が示され、受講者全員に同じ知識が身につくように配慮されていた。
今回の授業は保険業の中の「信託ビジネス」に関する講義であった。講義の冒頭には、保険や生命保険がテーマとなっている映画やマンガの紹介があり、学生にも身近な問題として理解できるように促されていた。その後、「信託とは」という定義の説明がなされ、「信託のしくみ」や「投資信託の流れ」について、図を用いた説明があり、文章や説明だけでは理解が難しい部分を図にすることで、理解度を上げる工夫がされていた。こうした配慮は、学生が復習する際にも理解を深めやすいものであると考えられる。講義の終了後は質問に来る学生も見られ、丁寧な対応がなされていることが見受けられた。
教員インタビュー(Q&A)
Q.授業のポイントを教えてください。
A. 3つのポイントがあります。1点目は、「金融」がかたいテーマであるため、分かりやすく説明することを心がけているということです。具体的には、金融が関係するドラマや映画などを適宜紹介し、学生たちに興味を持ってもらえるようにしています。
2点目として、金融に完結せず、社会のイノベーションや世の中全体につながるような話をするように意識していることです。時間のゆるす範囲で、一見金融に関係のなさそうな事項でも取り上げ、金融につなげることもあります。
3点目として、理論と現実のバランスを取りながら、就活も含めて、社会に出てからも役立つ知識を与えられるように心がけています。金融機関の仕事内容や金融を使う側としてのユーザー視点などを適宜紹介し、実感を持ってもらうようにしています。
Q.コメントペーパーをどのように活用しているか教えてください。
A. 受講者数が多く、一方通行の授業になりがちなので、学生たちにコメントペーパーを書いてもらっています。多くの受講者からコメントをもらうので、沙巴体育に答えることはできませんが、一定の傾向を知ることができると思っています。コメントペーパーからは、授業中に十分理解できなかった点や共通するコメントが見えてくるので、それらについて、次回の授業で答えるようにしています。また、必ずしも多数の意見ではなくても、みんなに共有してもらいたいと思う内容については、次回の授業でコメントを返すようにしています。
Q. 学生への期待を教えてください。
A. 金融はあらゆる生活につながり、世の中全体を動かす原動力であるといえます。自分自身の現在や将来とのかかわりや視点を身につけて、しっかりとした考えを身につけてほしいと思っています。その前提として、世の中全体に対して、高いアンテナを張ってほしいと思います。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業を履修したきっかけは何ですか?
A. 就職活動も視野に入れて、金融に関する知識を得たいと思っていたところ、授業名に惹かれてシラバスを見たら、内容がとても分かりやすかったので履修しようと決めました。
Q. 履修前後で何か自分に変化がありましたか?
A. 最初の頃は難しいのかな? と感じていましたが、先生が映画やマンガなど、身近なツールを交えて講義を進めてくれるので、とても理解しやすいです。信託や保険に関しては、種類がたくさんあることを知り、また、会社や企業の多さなど、学生の立場ではあまり関わらないことを知る機会にもなって、普段の生活でも気にかけるようになりました。
Q. 他学生へのメッセージがあれば教えてください。
A. 後藤先生の講義を聞いていると、とても分かりやすくまとめてくれている、と気がつきます。試験の時も、先生が言っていたことを思い出し、文章にまとめやすかったので、普段から授業をしっかり聞くことをおすすめします。開講の初回や2回目はゆっくり進めてくれたので、基礎知識のない自分でも授業にスムーズに入っていくことができました! 皆さん、目的を持って履修してくださいね。
授業の流れ
①連絡事項〈10分〉
②レジュメの配付〈5分〉
③前回のコメントペーパーの質問に対する回答〈10分〉
④講義〈65分〉
用語解説
ピアリスニング
聴解の過程をピア(学生同士)で共有し、協力しながら理解を構築していくアクティブ?ラーニングの手法の一種。本授業では、友達以外とペアやグループを組むこと、自分の意見を言わずに相手の意見だけを聞くこと、合計3名以上の意見を聞くこと、といったルールを課している。