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  • 2025.07.01

    2025年度Seijo Career Program(SCP)レポート: 他者と関わり自らの強みと人間力を磨く「キャリア?ベーシックⅢ〈関係構築〉」

 沙巴体育キャリアセンターでは、2025年度に新カリキュラム「Seijo Career Program(SCP)」1)がスタートしました。自己を探究し、自己を表現し、他者との関係を構築していく「キャリア?ベーシック」(3科目)は、他者と関わり自らの強みと人間力を磨くことをテーマに開講しました。今回は「キャリア?ベーシックⅢ〈関係構築〉」2)の様子をレポートします。

キャリア?ベーシックⅢ〈関係構築〉(科目担当:高橋博美先生)

チームワークやリーダーシップをテーマに体験学習を行い、人間関係構築スキルを習得

授業の様子

 この授業では、「人とどう関われば安心して話せるか」「どんなふうに場の雰囲気を感じ取り行動するか」を、体験を通して学んできました。そうした積み重ねを土台に、現在はチームで力を合わせる面白さと難しさに挑んでいます。前回のワークでは、考え方の異なる仲間とともに「支援すべき子ども」を決定するべく、「何を大切にするか」を話し合いながら合意形成に取り組みました。そして今回は、紙で橋を作る「ブリッジ?ビルディング」3)に挑戦しました。言葉だけではごまかせてしまう合意も、実際に手を動かしながら形にすることで、本当に通じ合えていたかが明らかになります。短い時間でも、創発的な工夫や笑いが生まれる中で、自分の強みや、人とつながることの意味に改めて気づくきっかけとなったようです。

  • 完成した橋の上をトミカが走る!
    完成した橋の上をトミカが走る!

  • チームで制作した橋の名前と特徴を発表
    チームで制作した橋の名前と特徴を発表

自分たちチームの成果物(橋)を記念撮影(撮影は各チームの学生)

学生のコメント(一部改編)

これでいい?」だと、Noと言いにくい状況となってしまう。「これでいい?」ではなく、「??と思ったんだけど、他に案はあるかな?」などと、相手にもっと寄り添えればよかった。

時間制限がある中で1人で行うと、考えが思い浮かばないとパニックになってしまい、余計な時間を使ってしまう。チームで行えば、決まった考えが出なくても組み合わせて少しずつ進むことができる。チームワークならではだと思いました。

新聞紙や模造紙を丸める係と糊で貼り付ける係で役割を分担し、メンバーと協働することで、スムーズにコスパ良く制作することができた。また、私の場合、1人だったらこれで良いのか?と不安になるが、チームメンバーがいたからこそ、一つ一つ確認しながら制作することができ、安心して作り上げることができた。

作業に没頭したりアイデアが盛んに出ている時には、制作や議論を止めないことを気にして、どのロール(立場)からも意見を出せなかった。本来はオポーザー(異議を唱える人)となるべきタイミングで、メンバーが出したアイデアに懸念点や改善点などを提示できなかった。それは私の時間管理が甘く適切なタイミング議論ができなかったこと、そして、相手が出したアイデアにリスペクトしたり良い対案を見つけられなかったことが原因である。「〇〇って何枚使うの?」「これでいいんだっけ?」と事前に認識を共有することで、コミュニケーション不足が解消される。

授業の翌回は「タワー?ビルディング4)」に挑戦、チームが一体になってひとつのものを創りあげる体験

学生のコメント(一部改編)

今回のワークを通してチームの関係が深まったと感じました。最初に完成イメージを共有し、意見をみんなで出し合いながら試行錯誤してタワーを組み立てていく過程は、まさに協力そのものでした。前回とは違ってみんなの頭の中で完成形をイメージできていたので、作成中は止まることなく進めることができました。中でも印象的だったのは、最後の鶴をのせた瞬間です。全員が自然と、できた!、きたーー!と声を上げました。その瞬間、同じ目標に向かって一緒に頑張ってきた感覚を共有し、一つの目標に向けてみんなで作り上げることの楽しさや達成感、快感を得ることができました。その一体感こそ、関係が深まった証だと思います。

私はストレスがかかると焦って一人で抱え込みがちになることを、今回のワークで気づきました。時間が限られていたり、うまくいかなくなると、周りに頼らず自分で何とかしようとしてしまう。しかし、そうすると逆にチームの動きがバラバラになってしまうので、ワークで進めるためには誰かに助けを求めることや役割を共有することが大切だと実感した。

今回、Formin(遠慮があり探り合っている状態)からNorming(少しずつまとまりが出てきた段階)を経験した。前回はワーク前に各々の役割を決めた。自分の得意なことがわからなかったり、言い出しにくい雰囲気があったりする中、「きっとこれが合うよ」とみんなに提案しながら意識をしすぎた面があった。今回は、アイスブレイクの段階で距離を縮めることができ、リラックスして取り組めた。そしてワーク中は、リードする人、サポートする人、新しい視点を持っている人など、みんなの性格に合った役割をあまり意識することなく自然に行えた。

今回は、最初のアイスブレイクや授業の合間に雑談を多く取り入れてみた。なにか話題を出したらそこからみんなが盛り上がって、1週間ぶりに会った緊張がほぐれた。前回はメンバー全員が発言をしたとは言えず、置いてきぼりにしたところがあった。だが今回は、メンバー全員がよく喋ってアイデアも出してくれていたので、距離を縮めることができて嬉しかった。

科目担当教員 高橋博美先生より

 AIで多くのことが一人で完結できる時代だからこそ、人と関わる中でしか得られない学びの価値が高まっています。この授業では、体験と対話を重ねながら、自分らしく、そして建設的に他者と関わる力を育てていきます。思いが伝わらないもどかしさや、価値観の違いに戸惑うこともあるかもしれません。でも、そうした経験こそが、自分の強みや、他者とのつながりの大切さに気づくきっかけになります。人と人がともに考え、協力し合うことの意味を、実感として持ち帰ってもらえたらと考えています。

科目概要

 この科目では、対話と実践活動を通じて自己と他者の理解を深め、大学生活および卒業後のライフ?キャリアを形成するための基盤を学びます。前半では、自分の歩みや経験、強みを振り返り、グループディスカッションやロールプレイ、即興演劇などの実践活動を通じて、「自分らしさ」を追究します。後半では、柔軟な発想をもとに将来のキャリアビジョンを描き、具体的な目標設定と行動計画の策定を行います。授業全体では、他者との関係性のなかで、自己を見つめなおし主体的な学びを促進し、実社会で活かす力の向上を目指していきます。

注)
1)沙巴体育のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
/career/news/cvt4qu000000h94b.html

2) 2025年度キャリア?ベーシックⅢ〈関係構築〉シラバス 
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202700695705&formatCD=1

3)参考:中村和彦?津村俊充(2012)「実習「ブリッジ?ビルディング」」『人間関係研究(南山大学人間関係研究センター紀要)』(11), pp.146-149
https://rci.nanzan-u.ac.jp/ninkan/publish/item/11_04_01.pdf

4) 中村和彦?津村俊充(2012)「実習「タワー?ビルディング」『人間関係研究(南山大学人間関係研究センター紀要)』(9), pp.120-127
https://rci.nanzan-u.ac.jp/ninkan/publish/item/09_04_02.pdf

撮影:受講生、高橋博美先生、勝又あずさ
文責:勝又あずさ(沙巴体育 キャリアセンター)