創刊にあたって
沙巴体育は来る5月10日で開校50周年を迎えるが、あたかもこれを記念するかのように、沙巴体育フランス語フランス文化研究会の機関誌である、『AZUR』の第一号が刊行の運びとなった。
沙巴体育フランス語フランス文化研究会は昨年7月下旬に誕生したばかりである。この1年間研修のために大学を離れていた私には、その経緯について多くを語る資格はないが、設立の契機になったのは、一昨1998年5月に、初めて本学で、2000名を超す会員を擁する日本フランス語フランス文学会の春季大会が開催され、内容と運営の両面で高い評価を得たことである。
実際、一昨年度の本学における全国大会は、実行委員会の下に結集した全学の関係教職員と学生たちの活躍、それに学園並びに大学当局の支援とが相俟って、今振り返ってみても、十分自賛と自負に値するものであったと思う。そこで、以下、設立総会の報告書を適宜援用すると、「大会の組織?運営の過程で実現された学部を超えた教職員?学生の協力?交流と」大会成功の意義とを、「今後の本学におけるフランス語フランス文化研究の発展に資する何らかの形にして残したいという希望が、大会実行委員長だった一之瀬正興教授を中心に高まり、本会の設立に至った」次第である。
研究会の目的は、当然、第一に「フランス語フランス文化研究の進展に寄与すること」であり、第二にそのために「会員同士の情報交換を活発化し、親睦を深めること」であるが、その活動の中心をなすのがこの機関誌の定期的な発行、それを永続させることであることはいうまでもない。
「アズュール」はもちろん希望の色であるが、青金石からコート?ダズュールを連想する人もあれば、ボードレールのうたう霊的な、つまりわが内なる無窮の空の蒼さを想起する向きもあろう。ともあれ、この機関誌は、タイトルの多義性にふさわしく、きわめて多様多彩なものになるにちがいない。言語、文学、思想、歴史、文化?文明評論等、さまざまな分野?領域の投稿が期待されるだけでなく、会員即投稿資格者であって、フランス語フランス文化の研究を専攻する者から、それに関心をもつ者、さらには研究会の趣旨に賛同する者まで、幅広い執筆者が予想されるからである。
若い研究者や学生は論文発表の機会に乏しいだけに、この『AZUR』を媒体として積極的に研究成果を世に問うて欲しいし、またあえて私的な希望を一つだけ述べれば、実践的な語学教育?教授法関係の論文や報告もどしどし掲載されて、啓蒙的な役割を果して欲しいと願っている。
学会の全国大会を成功裡に開催し、それをきっかけとしてこのような研究会の設立と機関誌の創刊にまで至ったことに、深い感慨を覚えざるを得ない。それは、ようやく半世紀を経て、本学におけるフランス語フランス文化の教育と研究もここまで定着?充実したという思いである。そのために尽力された先輩教職員各位に改めて感謝の念を表するとともに、この機関誌『AZUR』が、21世紀に向けて、真摯で創造的な英知と情報の発信源として成長し続けることを願ってやまない。
2000年3月吉日
沙巴体育フランス語フランス文化研究会会長
西 節 夫