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ジャーナリズム研究ゼミナール

ジャーナリズム研究ゼミナール

研究テーマ

ジャーナリズムやメディアをめぐる問題を扱います。
たとえば、客観報道というテーマがありますね。「ニュースは事実を客観的に報道しなければならない」。レポートを書かせると、こんな趣旨を書く学生がたくさんいます。その通りではあるのですが、反面、ジャーナリズムにおいて、送り手の世界観や価値観からまったく自由な記事、番組は、あり得ません。「ここが問題だ」とか、「ここを変えたい」という送り手側の「思い」が記事になるわけです。
これは送り手からの視点ですが、逆に受け手から見た場合、なぜニュースあるいは情報が必要なのでしょうか。もしかしたら、ニュースがなくても社会は成り立っていくかもしれません。政治の硬いニュースだけでなく、悲惨な事件を、場合によっては被害者、加害者のプライバシーに踏み込みながら、知りたいと思うのはなぜでしょう。そんなことを考えていきたいと思っています。

ゼミの特徴と流れ

マスコミュニケーション学科では、3年にマスコミ演習という授業があります。ここでまずは、このゼミナールの下地になるような研究に取り組むことになります。最近は、「沖縄」と「福島」に取り組んでいます。沖縄は基地問題、福島は原発事故問題です。夏休みの合宿は隔年で、沖縄と福島に出向きます。地元のテレビ局で話を聞いたり、仮設住宅でインタビューしたり、米軍基地の広報担当と一緒に基地を見学したり……。フィールドでの調査の基本を学ぶわけですが、書籍で事前に学んだことと、フィールドで分かったことがどうずれるのかを考えてみることになるでしょう。

卒論に取り組む

その後は、各自でテーマを見つけることになるのですが、ジャーナリズムの規範について考える人、昭和の歴史から大衆社会の転換を学ぶ人、はたまた、ファッション雑誌から近年の女子大生の恋愛観を探る人などさまざまです。これを卒業論文という形にまとめるわけです。
 以下、最近のゼミ生が書いた論文のタイトルを抜き出してみます。面白そうでしょう。

「忘れられた被災地『茨城』:東日本大震災の新聞報道分析」「音楽は傷ついた心に癒しを与えたか:東日本大震災の被災者へインタビュー調査から」「新大久保コリアンタウンのいま、そして未来」「多様化するフリースクール:神奈川県の事例から」「ラジコの持つ可能性」「プライバシー問題と事件報道:松戸女子大生殺害放火事件から見る女性被害者」「インターネットにおける情報再送信の危うさ:三鷹女子高校視察事件とPC遠隔操作事件から」「ソチ五輪に見る浅田真央の物語」「アダルト?チルドレンとして生きる:ケアの論理と科学の論理」「独立U局のあるべき姿:県域局なのか、独立局なのか」「犯人視報道:足利事件を題材に」「アイドル雑誌における女性アイドルイメージの変容」「地元記事と全国記事:その比率から考える地方紙の特色、限界、可能性」「仕事としての新聞記者」。


  • 福島県富岡町から避難している被災者の方にお話しを聞きました(2014年9月、福島合宿で)。


  • 宮城県山元町の臨時災害放送局りんごラジオの聴取者調査も行っています。写真は、調査のまえにラジオを通じて協力を呼び掛けているところ(2012年6月、宮城県への調査で)。


  • 沖縄県への夏合宿、名護市辺野古で。普天間飛行場の移設が予定されているこの海岸を見学し、地域の人に話を聞きました(2012年9月)。

ゼミ生の声

ゼミ生の声1
「仕事としての新聞記者」の卒論を書きました。函館や石垣島などで働いている新聞記者にインタビューして、どんな思いで仕事をしているのか。その盲点は何かを探りました。読む人に役に立つ記事とは何か。地域に寄り沿うとはどんなことなのかを、深く考えたのが印象的です。今は卒業して、全国紙の地方支局に勤務し、卒論で考えたことが役立っています。

ゼミ生の声2
 ラジオが好きなので、「ラジコの持つ可能性」という卒業論文を書きました。インターネットでラジオが聞けるようになって若者が気軽に聞けるようになったメリットがある反面、手作り感とか同じ時間を過ごす感覚、遠くから電波を受信するワクワク感がなくなったことが分かりました。小売?流通関係に勤務していますが、コミュニケーションを学んだことが、今の仕事に生きている点です。


ゼミ生との声3
 現在、テレビのバラエティ、とくに日本を褒める番組が多いことに注目して、分析する卒業論文を準備中です。森ゼミは、毎年合宿があり、現場で学べることが楽しい点ですね。私も、昨年福島に行き、復興とは何か、復興という言葉で置きざりにされているものは何なのかを考えました。4年生の今年は沖縄に行くことになっているので、今から楽しみです。