「成城 学びの森」コミュニティー?カレッジ
講義内容
20世紀は極端な時代でした。フランス現代作家の自叙伝や回想録を、翻訳で読んでみると、社会の変化が描かれています。作家には政治家や起業家のように、世に伝えたい業績や事件の真相はありませんが、どこにでもいる普通の子どもが、ペンで生きる人になった経緯を書くのです。自分を探しあてたからこそ書けるようになったのに、ふたたび自分を失くすために紙の中へ旅出つのはなぜでしょうか。
各回テーマ
(1) 聖アウグスチヌスでもなく、ルソーでもなく
(2) ボーヴォワールの『娘時代』:父の出征と「銃後」の少女
(3) サルトルの『言葉』:神童にして劣等生
(4) デュラスの『愛人』:故郷喪失者の文学
(5) サロートの『生い立ち(幼年時代)』:独仏語を話すロシア生まれの少女
(6) インタヴューを読む:自叙伝が作家にもたらした名声と苦行
講師紹介
専攻:フランス文学、現代ユダヤ研究
日本とパリの大学で勉強した作家たちは、政治的に敗者の部類で、自己弁護のために回想録や自伝を書きました。それで自伝文学に興味を持ちました。その後、ユダヤ系作家が幼年時代を回想する文章を読むようになり、今は写真と自伝の関係について考えています。