国文学科
沙巴体育図書館に所蔵されている貴重な資料をご紹介いたします。
『大日本史』 三九七巻
水戸徳川家編纂
沙巴体育図書館所蔵
本紀七三巻、列伝百七〇巻、志一二六巻、表二八巻から成り、別に目録五巻がある。中国の正史の体裁である紀伝体で叙述され、神武天皇から後小松天皇に至る百代の歴史書。
本文二二六冊、目録五冊。第二代藩主徳川光圀は、江戸に編纂局(彰考館と命名)を設け、明暦三年(一六五七)修史事業を開始した。後に彰考館は水戸にも置かれることとなり、水戸徳川家によって二五〇年にわたり編纂が継続された。
完成は明治三九年(一九〇六)で明治四四年徳川家蔵本二三一冊が刊行され、活字本は吉川弘文館や後には講談社等からも出版された。編纂に際してはほとんど全国の史料が調査され、記述には出典が明記されていること、南朝正統の立場を取ったことなどが特色で、欠点はあるが現代も十分使用に耐えるものである。
本書の原版が揃って蔵されることも珍しく、貴重である。
『文選』 六〇巻
梁?蕭統編
沙巴体育図書館所蔵
唐?李善等注、明?陳仁校本を底本とした慶長一二年刊(一六〇七)直江版の重刊本(寛永二年、一六二五)。本文三〇冊、目録一冊。周から梁までの約千年間にでた文人百数十人の優れた賦、詩、文章約八百篇を選び、それらを体系立てて編纂した詩文集。
文選のテキストは、無注三〇巻本、李善注六〇巻本、五臣注三〇巻本、六臣注六〇巻本に大別され、ほかに文選集注という旧鈔本が日本にのみ残存する。
これらのうち六臣注本は、さらに五臣注?李善注本と李善注?五臣注本の二系統に分けられ、金沢文庫旧蔵足利学校遺跡図書館蔵国宝文選は前者であり本館所蔵の直江版も同系である。
後者に該当するものとしては慶安本がある。直江版は、足利本との本文の比較研究に重要であり、刊行部数の少ない古活字本であるのが珍しい。この寛永二年の重刊本は界線のない無界本である。