「成城 学びの森」コミュニティー?カレッジ
講義内容
2016年は、夏目漱石の没後100周年である。このどの世代にも最も愛される国民的作家のあらゆる側面を検討し、論じることは不可能であるが、受講生の皆様の豊富な知識と読み方を講義に大幅に反映させ、皆様とともに漱石の作品を今一度初心に帰って読んでみたい。私自身としては、やや意想外と思われる人々、作品と漱石の作品を並列させ、彼の特質を探り、最後に彼と彼の文学の存在意義について考えたいと思う。
各回テーマ
(1) 漱石文学の新しさ | |
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漱石の青春 | 『三四郎』 『坊ちゃん』 ロンドン留学時代 |
(2) 漱石の「新しい女」 | 『草枕』那美 『虞美人草』藤尾 『三四郎』美禰子 |
漱石の先生 | クレイグ マードック ケーベル 松山の「校長」先生 |
(3) 漱石の余裕 | 多文体性 滑稽 パロディ 『猫』 |
ワーキングプアへの恐れ 高等遊民『それから』 | |
(4) 漱石のオブセッション | 繰り返されるテーマ 主題と変奏 『猫』『硝子戸の中』 |
『道草』天皇崩御 乃木大将殉死 明治の終焉 | |
『こころ』と鷗外『ボタン』『興津弥五右衛門の遺書』 | |
(5) 漱石の敬愛 | 『ケーベル先生』 |
蘆花『ヤスナヤ?ポリヤナの五日 トルストイ翁訪問』 | |
(6) 漱石のConsolatio | 漱石の孤独 疎外感 そして慰め 漱石の諦念と達観 |
漱石の存在意義 |
講師紹介
専攻:比較文学?文化論、中欧東欧地域研究、スラヴ文化史
長野市生まれ。東京大学大学院比較文学比較文化博士課程修了。ワルシャワ、モスクワ、オデッサ、ソフィア大学、ハーヴァード大学ウクライナ研究所等に通算4年以上遊学。ポーランド?ロシア19世紀文学を中心としつつ、外国人の日本体験と日本観、日本人の外国体験と外国観、異文化体験と交流にも興味と関心を抱く。